スチュワードシップ・コードへの対応方針
ロベコ・ジャパン株式会社
スチュワードシップ・コードの概要
平成26年2月26日に策定された、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫(以下、日本版スチュワードシップ・コード)、金融庁の有識者検討会である「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」より、機関投資家が適切に受託者責任を果たすことを目的として平成 29 年5 月 29 日に改訂された、日本版スチュワードシップ・コード)改訂版、それらに次いで、2019年4月24日、「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」と題する意見書、「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」(令和元年度)の開催を受け、2020年3月24日、日本版スチュワードシップ・コードが再改訂されました。ロベコ・ジャパンはこれに従い、スチュワードシップ・コードへの対応方針を更新いたしました。
近年、数ある機関や政府が機関投資家向けにスチュワードシップの指針を策定しています。英国スチュワードシップ・コード、日本版スチュワードシップ・コードおよびICGN(国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)のスチュワードシップに関する指針がその例として挙げられます。
これらのスチュワードシップの指針は、機関投資家に対して受益者保護のためにどのような措置を講じているか明確に説明することを義務付けています。また、これらの指針では積極的な株式所有および持続的な行動に対する責任ある方針が重視されています。スチュワードシップ・コードは、機関投資家に対して議決権の行使、関与(エンゲージメント)およびこれらの行動に透明性を持つことを義務付けています。お客様および将来のお客様は資産運用会社にスチュワードシップ・コードを遵守することを一段と求めています。サステナビリティを重んじる投資家として、ロベコ・インスティチューショナル・アセット・マネジメントB.V.(以下、「ロベコ」)および傘下のロベコ・ジャパン株式会社(以下、「ロベコ・ジャパン」)はこれらのコードを遵守するためにあらゆる必要な措置を講じています。
ロベコは資産運用業界の基準の策定、強化および理解に取り組み、積極的にサポートしています。
ロベコのスチュワードシップ方針
ロベコはスチュワードシップ・コードに注目が集まることを歓迎し、投資先企業の活動的な株式所有者になるという投資家の目標を積極的に支持します。サステナブル投資はロベコの企業戦略の基軸となっています。持続可能な商慣行を伴う企業は比較優位性を有し、長期的により高い成果を上げると確信しています。投資先資産のスチュワードシップに対するロベコの積極的なアプローチは、サステナブル投資において重要な部分を占めています。
原則1. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
スチュワードシップにおける透明性の方針
スチュワードシップ責任を果たすことは、ロベコのサステナブル投資アプローチにおいて不可欠な部分となっています。お客様および受益者に対して受託者責任を果たすことが、ロベコのミッション・ステートメントの中核をなしています。
ロベコは多様な投資ニーズを抱えた多様なお客様の資産を管理しています。ロベコは行動するにあたり常に能力の限りを尽くしてお客様に利益を提供することに努めています。お客様ニーズに適合するよう様々な戦略や投資目的をもって資産を管理していますが、「環境、社会およびすべてのステークホルダーに対して持続可能な方法で取り組む企業(および国)は、今後の事業または試みにおける多様な問題により対処できる可能性が高い」という全社的な哲学を有している点では共通しています。
ロベコは資産運用会社として、一連の方針を通じてこの哲学の具体化に取り組んでいます。ESG(環境・社会・ガバナンス)統合、議決権行使、投資先企業へのエンゲージメント、投資除外および行動規範が方針として挙げられます。
ロベコ・ジャパンはロベコの方針を踏襲いたします。
原則2. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
管理すべき利益相反に関する強固な方針
ロベコの管理すべき利益相反に対する方針および枠組みは、十分に検討されたものとなっています。所有権を積極的に行使する際に利益相反が生じる可能性があります。ロベコのスチュワードシップ責任に関連する利益相反は、社内規程によって取り扱われています。
ロベコ・ジャパンはロベコの方針を踏襲し、社内規程において管理します。
ロベコ・ジャパンは、独立系の資産運用会社であり、利益相反の可能性は限定的ですが、想定しうる具体的な利益相反の事例としては、以下の類型が考えられます。
お客様とロベコ・ジャパンのグループ会社、あるいはその顧客との間で利害が対立する場合
お客様相互間で利害が対立する場合
お客様とロベコ・ジャパンの役職員で利害が対立する場合
いずれの類型も利益相反が現実化することがないように、適切な管理体制を構築・導入しております。例えば以下の禁止行為に、形式的あるいは実質的に該当する可能性がある行為については、事前に法務コンプライアンス部に申請し、適法性、適切性について審査・承認を受けなければなりません。
投資一任契約に係る運用財産相互間において、取引を行うこと(一定の要件を満たす場合を除く)
他の業務等の利益を図るために、運用方針、額、市場の状況等に照らし不必要な頻度または規模の取引、その他正当な根拠を有しない投資判断に基づいて一任運用を行うこと。
利害関係人からの依頼を受けて、募集残の取得や買付けを一任運用として行うこと
不適正な条件でグループ会社(またはその顧客)と取引を行うこと
承認を要する典型的な事例は以下の通りです。
―ファンド間取引(同一銘柄の外部ファンドを、一方が購入し他方が解約する場合も含む。)の実施
―ロベコの利害関係者(主要株主を含む)との取引(当該社の設定・運用等するファンドの購入・解約を含む)の実施。株主であるオリックス株式会社の株式の取引は禁止されています。
―投資機会が制限される外部ファンド(受け入れ金額に上限のあるファンド等)への投資の実施
原則3. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。
投資先企業のモニタリング
投資先企業の積極的なモニタリングは、ロベコのサステナブル投資アプローチおよび戦略にとって不可欠な部分です。ロベコの運用チームとガバナンス・アンド・アクティブ・オーナーシップ部門が投資先企業のモニタリングを担当しています。ロベコは様々な資産クラスを管理して、多岐にわたる運用能力を有しています。サステナビリティはロベコの運用方針の重要な部分を占めているため、環境、社会および企業ガバナンス(ESG)要因がこれらの運用能力および資産クラス全般で考慮されています。ロベコはESG要因の投資分析および意思決定プロセスへの統合(つまりはESG統合)がサステナブル投資の最も重要な要素の1つと捉えています。ロベコは株式、クレジットおよび国債のポートフォリオの運用プロセスにESG統合を取り入れています。それは、十分な情報を得た上での投資決定につながると考えているからです。公開市場で取引されているすべての投資ファンドに関して、ESG統合を含む運用プロセスに対する一般的なアプローチを開示しています。
Funds global website
ロベコ・ジャパンはロベコの方針を踏襲いたします。
原則4. 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。
建設的なエンゲージメント
ロベコは所有権を積極的に活用し、建設的な方法でお客様を代理して投資先企業にエンゲージしています。ロベコのエンゲージメント活動は、株式およびクレジットの両ポートフォリオにおける世界中の投資先企業を対象としています。また、投資先企業に対して、価値のエンゲージメントとエンゲージメント強化の2つの異なる方法をとっています。これら2つのエンゲージメント方法において、ロベコは環境、社会およびガバナンスの問題に関する企業行動の改善を目標としています。
価値のエンゲージメント:価値のエンゲージメントは、サステナビリティを重んじる行いおよび企業ガバナンスの改善を通じた株主価値の向上を主たる目標としています。ロベコはチューリッヒのグループ会社および様々なサービス・プロバイダーのサポートを受けながら、サステナビリティおよび企業ガバナンスの分野における動向に関する知識を用いて、エンゲージメントが可能な分野を特定しています。サステナビリティに関して生じる問題は、投資機会やリスクと関係すると考えられ、企業価値を決定する要因に影響を与えます。エンゲージメントの分野を最終的に選択する際に、財務的な重要性およびエンゲージメントの影響が重視され、ポートフォリオ・マネジャー、アナリストおよびお客様と協議した上で選択されます。ロベコはエンゲージする際に、リサーチに基づきSMART(具体的、計測可能、実現可能、妥当、時間的制約)目標を設定しています。
エンゲージメント強化:エンゲージメント強化は、企業ガバナンス、社会的責任、環境および透明性に関する世界的に認められた行動規範の遵守不足が報告された際に、これに対処することを主たる目標としています。国連グローバル・コンパクトにより、エンゲージメント・プログラムを強化するための基本となる最低限の行動基準が規定されています。どのような違反でも明確に取り除くか修正すること、および違反が繰り返されるのを回避するために管理プロセスを強化することが、望ましい結論として挙げられます。エンゲージメント強化を目的とした対話により望ましい結果が得られない場合、ロベコは投資ユニバースから問題を抱える企業を投資除外する可能性があります。エンゲージメント強化のプロセスは、ロベコの投資除外方針の正式な一部となっています。
適切と判断した場合、ロベコは他の投資家と共同で関与していきます。ロベコは国連責任投資原則、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)など投資家が会員の協会に数多く積極的に参加しています。
ロベコ・ジャパンはロベコの方針を踏襲いたします。
バリュー・エンゲージメント、エンハンスト・エンゲージメントともに概ね3年程度の達成期間目標を置き、エンゲージの目的となる項目の半数を達成した場合にそのエンゲージメントは成功したと判断し、企業には成功不成功の別を問わず終了を伝えます。
原則5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。
透明性のある議決権行使方針および議決権行使活動の開示
株主としてロベコは多くの企業の共同所有者であり、これら投資先企業の株主総会において議決権を有しています。お客様の利益を最優先に考え、ロベコは投資先企業のガバナンスおよびその他の該当する投資に関する決定に影響を及ぼすことを目指して議決権を行使しています。
ロベコの議決権行使方針は国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN )の指針に基づいています。議決権行使方針を以下のウェブサイトで開示しています。
Voting policy
議決権行使のコストがファンドのパフォーマンスに重大な影響を及ぼすと考える場合を除いて、ロベコは公開市場で取引されているすべての投資先企業の株主総会で議決権を行使しています。議決権行使の決定を以下のウェブサイトで開示しています。
日本株式の議決権行使結果についてお知りになりたい場合は、ロベコの議決権行使開示専用の下記ウェブサイトからご覧になることができます。決議結果は、年次株主総会後1ヶ月以内にこのサイト上で公開され、閲覧いただくことが可能です。
Voting report
決議の経緯については、主だったケースをProxy Voting Season OverviewやAdditional Proxy Voting Disclosureで発表しています。
ロベコ・ジャパンはロベコの方針を踏襲いたします。
また、議決権行使に際しては、議決権行使助言会社であるGlass Lewis(“グラス・ルイス”)及び Institutional Shareholder Services (“ISS”)のサービスを海外運用委託先に応じて利用しております。具体的には、オランダを中心とするロベコ・グループはすべての議案に関する背景情報を提供するグラス・ルイスのリサーチを購入しております。グラス・ルイスのリサーチは、すべての議案に関する背景情報を提供するものです。賛否の分かれる議案を社内で精緻にスクリーニングした後、議決権を行使するアナリストは、サステナビリティ報告書、議決権行使勧誘書類、アニュアルレポート、ニュースなど関連するすべての材料を検討します。またロベコ・グループの米国拠点では、ISSに議決権行使事務を外部委託しています。ISSは、お客様の口座で保有している証券の議決権関連の資料をすべて受け取り、米国拠点の議決権行使方針書(ガイドライン)に基づき、投票の提案を行い、投票記録の管理と投票報告サービスを提供しています。ガイドラインは主に標準的なものにPVS(タフト・ハートレー法:1947年制定の米国の労使関係法の通称)を取り入れたガイドラインです。ロベコ・グループの米国の拠点は、ISSの助言を受けながら、ガイドラインに沿わない形で行使を行うことが顧客利益にかなうと考える場合においては、そのような形で行使を行う権利を残しています。また議決権の行使にあたり、それに伴う手続きコストが膨大で、顧客に対して期待される恩恵を上回ると考えられるケースでは、議決権行使を控える場合があります。
原則6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、お客様・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。
スチュワードシップ責任に関する定期報告
;議決権行使およびエンゲージメントに関する活動を以下のウェブサイトで開示しています。
ロベコの強み - サステナブル投資
ロベコは、議決権行使およびエンゲージメントの状況更新を含むサステナブル投資の取り組みを四半期ベースで報告しています。議決権行使の決定はウェブサイトで随時更新されています。これらの報告を通じてお客様にロベコのスチュワードシップ責任を定期的にお知らせしています。
また、ロベコは投資除外方針および投資除外リストを開示しています。投資除外は、ロベコのスチュワードシップ責任の一部を占めています。ロベコの投資ユニバースから特定の銘柄を除外する選択肢は最終措置となります。クラスター爆弾、対人地雷など問題ある兵器の製造または取引に関与する企業、および国連グローバル・コンパクトに組織的かつ深刻に違反する企業に対して投資除外方針を適用しました。ロベコのスチュワードシップに関する方針を以下のウェブサイトで開示しております。
ロベコは国連責任投資原則(UNPRI)の積極的なメンバーであり、UNPRIの年次評価で自社のサステナブル投資アプローチを開示しています。また、国連グローバル・コンパクト(UNGC)のメンバーでもあり、UNGCのコミュニケーション・オン・プログレスを通じてサステナビリティ投資アプローチを開示しています。
ロベコ・ジャパンはロベコの方針を踏襲いたします。
Governance & Active Ownership (Active ownership reports)
原則7. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業 やその事業環境などに関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。
ESGに関する深い理解
ロベコおよびグループ会社は、投資先企業およびその事業環境を深く理解しています。深い理解に基づき、投資先企業に適切にエンゲージし、スチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うことが可能となっています。ロベコのスチュワードシップ活動は、財務的に重要なESGの問題に重点を置いています。エンゲージメント専門家および議決権行使アナリストからなる専任のチームが、サステナブル投資リサーチ・アナリストおよびポートフォリオ・マネジャーと密に協力してスチュワードシップ活動を行っています。ロベコの運用戦略の大多数に「サステナビリティ・インサイド」のアプローチが適用されています。ロベコは運用戦略にESG要因を盛り込んで提供しています。例えば、テーマ型運用では各テーマの投資ユニバースは、当該テーマの対象となる長期的なサステナビリティ課題に基づいて構築されます。さらに分析対象企業のサステナビリティ特性が、ファンダメンタル評価による業績予想やバリュエーションに加味され、投資の魅力度に影響を及ぼします。また、別の戦略では、参照インデックスとの比較で、ESG基準のスコアを少なくとも20%向上することと、環境フットプリントを20%以上改善することを目指しています。ロベコのグループ会社のESG要因に関する知識および専門的な知見を活用して、投資先企業が取り組むべき最重要課題を特定しています。投資先企業およびその事業環境を深く理解することは、投資先企業の適切なエンゲージメントに不可欠となっています。
その活動については、外部監査人がプロセス及びその統制について年次監査を実施します。加えて、ロベコの内部監査により3年に一度エンゲージメントプロセスの質について監査が行われます。また2020年よりロベコは自身のスチュワードシップ活動に対する自己評価を取り入れています。