ユーロ圏の国債市場では、この1年間、リスクに対する楽観的な見方に後押しされて、ボラティリティが比較的低い中で、対ドイツ国債スプレッドは緩やかに縮小しました。しかし、欧州議会選挙において、フランスのマクロン大統領率いる与党連合が大敗を喫したことを受けて、センチメントは急変しました。その後、同大統領が突如として解散総選挙を発表したことも、市場の混乱に拍車をかけました。以前から、市場ではフランスの財政状況に厳しい目が向けられていましたが、財政拡大を掲げる政党の勝利によって、財政悪化リスクがさらに高まる形となりました。
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ユーロ諸国のスプレッドは拡大
ユーロ諸国のスプレッドが急拡大したため、債券市場ではボラティリティが再び急上昇し、ドイツ国債を逃避先とする質への逃避の動きが強まりました。フランス10年国債の対ドイツ国債スプレッドは80bp近辺まで広がり(約30bpの拡大)、2017年の仏大統領選挙直前や2011年のユーロ圏ソブリン債務危機時以来の水準に達しました。スプレッド拡大の影響はすべてのユーロ諸国のスプレッドに影響し、より広範なユーロ圏のクレジット市場にも波及しました。さらに、欧州の銀行株市場にも深刻な影響を与え、ユーロストックス銀行株指数は5日間で▲8%と急落しました。ロベコが前回の四半期アウトルックにおいて指摘したように、スプレッド市場ではバリュエーションがすでに割高な水準に達していることを、足元の動きは明確に示しています。
波乱含みの展開に備える
インフレの動向や中央銀行の政策決定会合の結果に市場の注目が集まる中でも、地政学的なイベントが突如として市場に大きな影響を与える可能性があることが明らかになりました。財政を巡る不確実性が高まる中で、英国では総選挙が近づき、米国では年後半に大統領選挙を控えています。この夏、そしておそらくこの秋も、大荒れの展開になるかもしれません。
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