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17-12-2024 · 四半期アウトルック

クレジット・アウトルック:クレジット・スプレッドが再び拡大することなどあろうか

言うまでもなく、スプレッドの拡大は非現実的なシナリオではありません。今年度の取引を締めくくり、先行きを展望するに際して、この1年の動向と教訓を簡単に振り返っておく価値があるでしょう。

    執筆者

  • Matthew Jackson - Portfolio Manager

    Matthew Jackson

    Portfolio Manager

  • Sander Bus - CIO High Yield, Portfolio Manager

    Sander Bus

    CIO High Yield, Portfolio Manager

  • Reinout Schapers - Portfolio Manager

    Reinout Schapers

    Portfolio Manager

まとめ

  1. クレジット・スプレッドが過去最低の水準近辺で推移していることは事実

  2. だが、オールイン利回りの上昇が潤沢な需要を生み出す

  3. 第2次トランプ政権の動向が2025年の変動要因となる

一言で言うと、ここ最近、潜在的な悪材料が数多く存在する中でも、クレジット市場は驚くほど堅調に推移しています。(ほんの数例を挙げると)欧州における政治的混乱、金利ボラティリティの急激な上昇、地政学リスクの高まり、米国大統領選挙などによって、重大な不確実性やリスク回避の動きが誘発される展開も、十分に想定されていたかもしれません。しかし、そのようなイベントの賞味期限は総じて短く、いずれの場合も「押し目買い」が適切な反応になりました。

今にして思えば、ロベコは年初来、やや慎重になりすぎていたかもしれません。経済成長の減速、インフレ低下の流れ、金融政策の緩和によってクレジット市場が下支えされるという基本シナリオは実現したものの、多数のリスク要因が視野に入る状況において、年末時点でスプレッドが今世紀で最もタイトな水準に達するとは、想像できませんでした。

では、私たちは何を見逃していたのでしょうか。それは“利回りの力”です。

一般にクレジット投資家は、スプレッドの観点からバリューを評価します。その一方で、多くの市場参加者にとっては、「オールイン利回り(債券/ローン全体としての利回り)」の方がはるかに重要な判断材料であることが、明らかになりつつあります。その結果、スプレッドがタイトでありながら利回りに魅力が残存するという、「バリュエーションの謎」とも言うべき状況が現れるようになりました。少なくとも現時点では、利回り上昇の魅力の方がスプレッドの縮小よりも重視され、クレジットに対する需要は旺盛な状況が続いています。

ここで、この記事のタイトルの「クレジット・スプレッドの再拡大」の話に戻ります。確かに、スプレッドはまだ拡大する可能性はありますが、正確には、いつ、なぜ拡大するのかは依然としてはっきりしません。現在のスプレッド水準に魅力を見出すのは容易ではありませんが、市場に存在する膨大な需要に目を向けると、過度に悲観的になるのも困難でしょう。グローバルなクレジット投資家にとって幸いなことに、リスクを単純にロングしたりショートしたりするだけが選択肢ではありません。当面は、今後数カ月間に生じるボラティリティの上昇局面において活用するため、大量の「ドライパウダー(未使用の手元資金)」を維持しながら、他の手法からアルファの源泉を引き出すことを想定しています。

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