先月行われた米国の大統領・連邦議会選挙では、トランプ氏が大統領選挙において勝利を収め、共和党が議会両院の過半数を獲得するなど、共和党の「完全勝利」という結果となりました。しかも、わずか2カ月の間に、米国経済の景気後退入りに対する警戒感や米連邦準備制度理事会(FRB)の対応の遅れに対する懸念は薄れました。
市場は、ソフトランディング・シナリオを全面的に受け入れており、米国経済は減速しつつも金利の低下に支えられて勢いを維持しています。その一方で、トランプ氏が大統領就任直後に発表すると見られる関税政策については、世界中が固唾をのんで見守っています。関税の引き上げ(あるいは引き上げ懸念)は、実際の施行が来年下期以降になるとしても、経済にとっては不確定要素であり、経済成長を下押しする可能性が高いと考えられます。加えて、引き上げる側(米国)においても、インフレの上昇要因となります。米欧間では経済成長格差が縮小する一方で、インフレ格差は解消されないと、ロベコは予想しています。
欧州に目を向けると、ドイツでは2025年2月に解散総選挙が予定されています。また、フランスでは、新政権が樹立後わずか90日で崩壊する結果になりました。パリ・オリンピック開催後に企業景況感が大幅に悪化したことからもうかがえるように、フランス経済は低迷が続いています。これに対して、南欧諸国の経済成長率が北部の国々を大幅に上回る状況は、注目に値します。
金融政策の乖離を予想
欧州中央銀行(ECB)は来年も、毎回の政策理事会において25bp刻みで利下げを継続し、中銀預金金利を1.50~1.75%の水準に誘導すると予想しています。一方、FRBは、トランプ新政権が予定する諸政策の行方に不透明感があるため、来年上期は緩和ペースを減速する可能性が高いと考えられます。もっとも、フェデラルファンド(FF)金利に関するロベコの中心シナリオは、市場が織り込む水準(3.50~3.75%)を引き続き下回ります。
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